クロスの特徴を活かして選ぶ

部屋別クロスの選択術

内装の壁に使用するクロスには、大きく分けて4つの種類があります。
その4つは主原料が異なっており、素材に応じた特徴があります。見た目や雰囲気、クロスを張る場所の向き不向き等がありますので、特徴をしっかりと把握したうえで適した内装に使用すれば、より効果的でお手入れなどの手間も最低限で済みます。
メーカーや商品によって値段や性能は異なりますので、予算や希望のバランスを考えてクロスを選びましょう。

どの部屋でも合う!オールラウンダー[ビニールクロス]

クロスの中で最も使われているのがビニールクロスです。
塩化ビニール樹脂などを主原料としたビニールシートに紙を裏打ちして作られます。
他の素材のものと比べても価格が安く、色や模様も非常に多く、耐久性も高く、お手入れも楽と、とても扱いやすいクロスです。
最近では防カビや抗菌、抗アレルゲン、表面強化など様々な機能がプラスされたクロスも増えてきています。

ビニールクロスは基本的に家じゅうどこでも使えます。
表面のビニールで水をはじくため、洗面所やトイレといった湿気の多い場所や汚れやすい場所にも向いています。
ペットの爪などによる傷がつきにくい表面強化機能のついたものはペットを飼っている方にもおすすめです。

特別感・高級感がほしい場所に[織物クロス]

織物クロスは、織物、編み物、不織布、フェルトなどを紙で裏打ちしたクロスです。
最も使われている価格が低めのものはレーヨンを使ったものが多いですが、麻や綿、絹織物などを使った比較的高価なものも人気です。
ビニールクロスには出せない独特のボリューム感、織物ならではの温かみのある風合いなどが魅力で、ホテルのロビーや美術館、結婚式場、オフィスの応接室などの高級感が求められるパブリックスペースにもよく使われています。

実はかなり有能、経年劣化も味になる[紙クロス]

紙クロスはパルプを原料にした洋紙に、プリント加工やエンボス加工を施したクロスです。
主にヨーロッパやアメリカから輸入されているものが多いのですが、日本製でも和紙を使って作られたものがあります。

紙ならではの独特の風合いもさることながら、紙の繊維によって太陽や照明の光を乱反射しやわらかな光に変えてくれますし、音も分散させてくれる効果があります。
一般的なクロスは張ってから年月が経つにつれ少しずつ黄ばみなどがでて劣化していってしまいますが、紙クロスはその経年劣化すらも味になるという利点があります。

やわらかで暖かみのあるクロスは、和室やベッドルームにもおすすめです。
調湿機能はありますが、過度の湿気には弱いため、トイレや洗面所などには向きません。
海外からの輸入品には防汚や調湿等の機能が備わったものが多く、水ぶきも可能なのでお手入れも比較的楽です。
日本の和紙を使って作られたものは表面に樹脂加工が施してあるものであれば水ぶきも可能です。
ビニールクロス等と比べて破れやすいので、ペットがいる家などは注意が必要です。

その他のクロスも捨てがたい!3種のクロスの特徴を紹介

オレフィンクロス
ポリオレフィン系樹脂やアクリル樹脂でできた「オレフィンクロス」は、塩化ビニール製ではないため燃やしても有害なガスの発生がなく、環境に良いクロスです。
ビニールクロスと同じく水や汚れに強いため、張る場所を選びません。
ビニールクロスより薄めなので、下地の処理が甘いと表面にデコボコが浮き出てしまうことがあるので注意が必要です。
無機質クロス
自然素材の石や珪藻土、セラミックやガラス繊維など、無機質な素材で作られたのが「無機質クロス」です。
無機物でできているため防火性が高く、調湿性もあります。
また自然素材でできているため結露なども発生しにくいメリットがありますが、素材そのものが硬いため、施工がとても難しいクロスです。
漆喰壁も無機質クロスの部類で、古くからお城や神社仏閣、酒蔵などの壁に使われてきました。
キッチンなど火を扱う場所、リビングにもおすすめです。
木質クロス
天然木やコルクを薄くスライスして紙で裏打ちしたクロスです。
通気性が高く、あたたかみや高級感を出すことができます。
比較的高額なクロスになりますので、壁一面施工ではなく、一部分にアクセント的に使うのがおすすめです。
リビングやベッドルームなどに向いています。